本美術館に出品している作者のプロフィールおよび、作者からのメッセージです。
又、それぞれのURLから作者のウェブサイトへリンクしています。
杉原厚吉(明治大学 特任教授、工学博士)
研究分野:数理工学
メッセージ:
絵を理解するコンピュータの研究をしている中で、不可能図形とよばれるだまし絵の中に立体として作れるものがあることを見つけました。それをきっかけに、立体錯視の研究と錯覚の生じる立体の創作を続けています。今後は、立体錯視の楽しさ・不思議さを多くの人に伝えるとともに、錯覚の生じない環境を作ることによる事故防止などに役立てたいと考えています。
プロフィール:
岐阜県生まれ。電子技術総合研究所、名古屋大学、東京大学などを経て現職。2010年ベスト錯覚コンテストで優勝。趣味はそば打ち。
新井仁之(東京大学大学院 教授、理学博士)
研究分野:応用数学
メッセージ:
ものを見るとき、脳は眼から入った情報をいろいろと処理しています。しかし脳がどのような情報処理を行っているのか、未解明な点も多々あります。私はその部分を最先端の数学を駆使して研究しています。その際に重要な役割を果たすものが錯視です。数学と錯視は一見関係ないようにみえますが、数学を使うとたとえば錯視のメカニズムの研究、錯視量の制御、さらに新しい錯視を創出することもできます。
プロフィール:
横浜市生まれ。早稲田大学、東北大学を経て現職。視覚と錯視の数学的新理論の研究により平成20年度科学技術分野の文部科学大臣表彰科学技術賞(研究部門)を受賞、また1997年に複素解析と調和解析の研究で日本数学会賞春季賞を受賞。
http://www4.ocn.ne.jp/~arai/Exhibition/illusiongallary4.html
山口 泰 (東京大学大学院 教授、工学博士)
研究分野:情報工学(特にコンピュータグラフィクスや画像/形状処理)
メッセージ:
コンピュータグラフィクスは、実在しないシーンや画像を、あたかもそれらしく、また場合によって人にとってわかり易く見せるための技術です。いろいろな画像を作るなかで、人が見たときに「あれ?」と思う、だまし絵的な画像を作ることにも興味を持つようになりました。ときに現実的であったり、わかり易かったり、ときには非現実的でおかしい、それでいてどことなく自然さが感じられたり、そんな画像の作り方を考えたいと思っています。
プロフィール:
東京都生まれ。東京電機大学などを経て現職。趣味はスキー(若いときは、登山とヨットもしていたのですが…)。
北岡明佳(立命館大学 教授、教育学博士)
研究分野:知覚心理学
メッセージ:
錯視を何でも研究しています。英語の"visual illusion"とは異なり、日本語で「錯視」と言えばほぼ形の錯視(幾何学的錯視)のことだったのですが、私は貪欲にも、色の錯視、明るさの錯視、動きの錯視、空間の錯視などが広く存在することを明らかにしつつ、「顔の錯視」といったものまで錯視ということにしてしまおうという「パンイルージョン(何でも錯視)作戦」を遂行中です。さらには、だまし絵や不可能図形、反転図形、各種の恒常性の画像まで領域に編入しようと試みています。
プロフィール:
高知県生まれ。東京都神経科学総合研究所を経て現職。2006年、第9回 ロレアル 色の科学と芸術賞の金賞を受賞。2007年、日本認知心理学会から第3回独創賞を受賞。2002年に立命館大学において開設したウェブページ「北岡明佳の錯視のページ」には、日本語版・英語版ともに多くのアクセスがある。
植田一博 (東京大学大学院 教授、博士(学術))
研究分野:知覚心理学
メッセージ:
錯覚は、視覚にかかわるものが最も有名であり、実例も多く見つかっていますが、視覚以外の人の様々な認知活動において見られるものです。植田研究室では、色の知覚にかかわる色錯視を中心とした錯視現象を解明するとともに、人の経済的な行動、特に購買行動や投資行動における意思決定に関する錯覚現象の解明を行っています。これらの錯覚現象を広く横断的に眺めることにより、誤認を防ぎ、事故や犯罪の防止に資する方向を模索するとともに、錯視を利用した広告やアートの作成にも関与したいと考えています。
プロフィール:
群馬県生まれ。大学在学中に文系から理系に転じる。第7回(2008年)ドコモ・モバイル・サイエンス賞・奨励賞等を受賞。2009年ベスト錯覚コンテストのファイナリスト。趣味はワイン。
宮下芳明 (明治大学 教授,博士(知識科学))
研究分野:ヒューマンコンピュータインタラクション
メッセージ:
メディア/コンテンツ技術は、実世界に存在しない仮想的なモノや情報を見せる(感じさせる)技術であるといえますが、そういう意味では「実世界に存在しないモノが見えてしまう(感じられてしまう)現象」である錯視/錯覚と無関係ではありません。広い解釈で錯覚をとらえ、メディア技術やコンテンツ制作に転用することで社会に役立てようと考えています。
プロフィール:
イタリア国フィレンツェ生まれ。第41回高峰譲吉賞[科学]、ThinkQuest Japan2002 金賞 [映像・ウェブデザイン]、avex主催 m-floリミックスコンテスト優秀賞[音楽]、eATアワード'06グランプリ(匠賞)[CG]、2008年度芸術科学会展特別賞[ゲーム]、第3回中山隼雄記念財団賞[ゲーム]など。
友枝明保 (武蔵野大学 准教授、博士(工学))
研究分野:渋滞学
メッセージ:
高速道路における渋滞の最も大きな原因は事故でも工事でもなく、"サグ"と呼ばれる上り坂での速度低下です。上り坂であることをドライバーが正しく認識できていない一種の錯視現象が速度低下を招き、結果的にひどい渋滞を引き起こしているのです。ドライバーの錯視現象を解消し、適切な運転ができる環境を整えることが渋滞緩和につながると考えています。
プロフィール:
広島県生まれ。東京大学工学系研究科航空宇宙工学専攻特任研究員、明治大学研究・知財戦略機構研究推進員(GCOEポスト・ドクター)を経て現職。平成22年度日本応用数理学会論文賞。座右の銘は「日々是渋滞」。
CREST期間中の異動:
明治大学 特任講師 → 現職
福田玄明 (東京大学大学院 助教、博士(学術))
研究分野:認知科学、認知神経科学
メッセージ:
錯覚は現実とは異なる認識が起こることであり、脳が外界の情報をどのように処理しているのかを強く反映していると考えられます。今後も色の知覚にかかわる錯覚を中心に色々な錯覚を研究することで我々の脳が行う情報処理について考えて行きます。
プロフィール:
大阪府生まれ。2009年ベスト錯覚コンテストのファイナリスト。
CREST期間中の異動:
東京大学大学院 研究補佐員 → 理化学研究所 研究員 → 現職